コンテナを使った居住・貯蔵空間

コンテナは強度があり、耐久性も高く、規格化され、積み上げることや切断することができ、

移動可能で、世界中にあふれており比較的安いため、理想的な建築材料とも言える。

(ただし、建築物としての使用については、JIS規格によらない部分は建築基準法による

建築材料の規定に抵触する場合もあり、部材の結合方法や構造計算等にも注意を要する)

コンテナを買い取って物置代わりに使う家庭や、建築現場やイベント会場での仮設オフィス、

空き地でのカラオケボックスに使う会社などは以前からあったが、コンテナを多数組み合わせて

家屋やオフィス、アパート、寮、学校、アトリエ、シェルター(避難小屋)、仮設住宅などを

作っている個人や会社や政府、あるいは建築家も世界各地に多く現れている。

4トントラックでの輸送は、海上コンテナをベースにしたコンテナハウスなど、改造コンテナも多い。

1991年の湾岸戦争で、コンテナは当初の予定にない様々な使われ方をした。

多国籍軍の物資を運ぶだけでなく、換気のために穴を空けることによって、

間に合わせの居住空間や捕虜の移送用としてもコンテナは使われた。

コンテナは敵の攻撃に備える遮蔽物としても使われ、壁面に土嚢を積むことで

対戦車ロケット弾 (RPG) にも耐えうる簡易要塞を構築することが可能であった。

1990年代以降、北アメリカには、貿易赤字に伴って比較的安いコンテナが大量に

あふれることになった。

工業製品はアジアから、一部はヨーロッパから、コンテナに積載されて北アメリカに来るが、

北アメリカから輸出する製品は少なく、船会社はそれなりの費用をかけて

空コンテナを大量に送り返す必要があった。

空コンテナの返送費より新品のコンテナを中国などで買う費用の方が安い場合もあるため、

コンテナを一方的にアジアからアメリカに送り、不要になった中古コンテナのアメリカでの

新たな使い道を見つける必要が生じている。

2000年代後半からは、コンテナベースのデータセンターも現れている。

Googleは、自社のコンピューティング環境の効率やコストに敏感といわれてきたが、

2009年4月に同社は、1AAAタイプのコンテナに1160台の自前サーバを搭載してモジュール化し、

これらを多数組み合わせてデータセンターを構築していることを公表した。

キルギスタンなど中央アジアでは、ドルドイ(Dordoi、дордои)と呼ばれる

巨大迷路のようなバザールがISOコンテナを積み上げて形成されている。

ドルドイは首都ビシュケクをはじめ大きな町で、あらゆる商品、特に衣服などを扱う

市場として設置され、市民以外にもカザフスタンをはじめ多くの遠来の客や商人を呼び込んでいる。

宮城県女川町では、2011年11月に、東日本大震災被災地向けに作られた仮設住宅として

はじめて海上コンテナが使われた多層式仮設住宅の入居が開始された。

コンテナや紙管を利用した建築で知られる建築家の坂茂に女川町が打診して設計されたもので、

平らな土地が少ない女川町に対応する為、日本の仮設住宅としては初の3階建構造となっている。

このように建築材料として優れた面をもつ一方で、比較的手軽に利用・設置が可能であることから、

建築確認申請等の手続きを経ずに(あるいはそれを要することを知らない一般市民により)設置され、

違反建築物として取り締まりの対象とされる例が全国で後を絶たない。

こうした違反においてはコンテナ同士の結合や基礎への緊結も十分になされていない例も多い。

実際に利用する場合には、建築士や特定行政庁に相談する等、十分注意する必要がある。

関連項目