フラット・ラック・コンテナ

フラット・ラック・コンテナ (flat rack container) は、

ドライ・コンテナに積載できない大型機械、円筒形工場用設備、木材、

石材、鋼材、工作物、インゴット、大型タイヤ、各種車両、小型ボート、

各種ケーブルドラムやロール状の鉄板などを積載するため、

天井・両側壁がなく土台となる床のほかに両妻壁(トラックの荷台で言う

前後の壁の部分)または、四隅の柱だけの開放型コンテナである。

なお、これらの妻壁や柱構造は完全固定型と、折倒し可能な可変型などに

コンテナ構造区分コード上で区分される。

これらのコンテナは固定型であれ可変型であれ、

基本構成は両端にある四隅の柱が主体となるために、

関係者の間では単にラックコンテナと呼ばれている。

通常は海損防止のため船倉内に積載されるが、

コンテナ本体より一回り大きな貨物を積載する場合も多々あるので、

上に他のコンテナを積み重ねられない場合や、周りに他のコンテナを

密着して並べて蔵置きができない場合も多く、

この場合は船倉スペースに無駄が生まれる分だけ輸送運賃は高くなる。

尚、日本の長さ12ft鉄道コンテナを3個積載して、

1個の長さ40ft・9ft6in背高海上コンテナとして輸送できる、

ラック貨物コンテナ(特許番号:4866105)も存在する。

元々、日本の長さ12フィート鉄道コンテナを貨車・トラックへの

積載時の固定装置は、日本独自の規格である半自動式中央緊締方式のため、

国際海上ISO規格のツイストロック方式である船舶を利用した広範囲な

外国への国際輸送は、トラック積載状態での日韓フェリー輸送のごく一部の

事例を除き事実上、鉄道コンテナ単体での国際輸送が不可能であった。

しかし、近年の国際的な物流事情の流れに即し、

この独自の日本規格を変更することなく円滑に行える切り札的輸送方法として、

ラックコンテナに鉄道コンテナを載せるという発想が生まれた。

このラック貨物コンテナ床面には、収納可変式の半自動式中央緊締装置と

ツイストロックが三組分備えてあり、帰り輸送時等に積載する鉄道コンテナが

なくとも、通常の汎用ラックコンテナ同様に他の貨物を積むことができるので、

片荷による運用コストアップを抑えた運用ができる。

なお、このコンテナは両端の四本柱は固定式である。

更に、近年制作費の安い中国、韓国から12フィート鉄道コンテナを逆輸入するための、

アダプター的役目の1個のみ搭載できる四角形骨組みだけの、

長さ20フィート型のラックコンテナもある。

ただし、積載効率が非常に悪く輸送コストもかかるので、

試作品や冷凍コンテナのユニットなし本体のみなど、特殊な事情時に運用される。